親知らず・抜歯とは
乳歯から永久歯に生えかわった後に、一番奥に生えてくる歯のことで15~30歳頃に生えてきます(生えてこない方もいます)。親知らずは多くの場合、斜めや横向きに生えてくるため隣の歯や歯茎に悪い影響を与え取り除くなどの処置が必要です。
しかし、まっすぐに生え正常な歯として食べ物を噛み潰すなど、しっかりと機能している場合は抜く必要はありません。
親知らずによる問題・症状
痛み・腫れを感じる(智歯周囲炎)
不完全に生えてきた場合(親知らずが歯茎から半分だけ出ている状態など)歯と歯茎の間に食べカスが溜まりやすく炎症を引き起こします。
虫歯になりやすい
一番奥にある歯のため、しっかり磨くことが難しく虫歯になる確率が高くなります。 また、親知らずが隣の歯に当たっている場合、隣の歯も磨きにくくなるため両方の歯が虫歯になりやすくなります。
咬み合わせがおかしくなる
親知らずが生えてくる場所がないと、隣の歯を圧迫し更に隣の歯を圧迫して・・・と連鎖的になるため全体の歯並びが悪くなることがあります。
親知らずの原因
近年、食べ物が硬いものから柔らかい物に変化した影響で、噛む力がそれ程必要なくなり顎が小さくなってきました。そのため一番奥の歯が生える場所が無くなり、斜めや横向きなど無理な方向に生えてきてしまいます。しかし最近では親知らずが生えてこない人も徐々に増えてきています。
親知らず・抜歯の治療方法
親知らずが比較的まっすぐに生えている場合は、部分麻酔の後に専門の器具で取り除きます。 しかし、横向きや奥まった所に生えて取り除くのが難しい場合、口腔外科で治療を行います(口腔外科とは難しい治療を扱う専門の科で一般的には大学病院の口腔外科をご紹介する形になりますがパール歯科医院では口腔外科専門医師*がおり、そのまま当医院で治療が可能です)。
*近津教授(東京医科大学 口腔外科学講座 主任教授、医学博士 日本口腔外科学会認定口腔外科専門医)は月曜・日曜、東郷歯学博士(元東京歯科大学市川総合病院 歯科口腔外科)は木曜に担当いたします。
また、事情により変更になる場合がございます。
親知らず・抜歯治療の進め方
親知らずの治療は、初回に検査(レントゲンや場合によりCT撮影)を行います。状態を確認後、抜歯に必要な時間や難易度が高い場合は専門医のスケジュールを確認し、次回予約枠をお取りして抜歯を行います(当日に抜歯は行いません)。抜歯後(特に下の歯の場合)の数日間は、痛みや腫れが出るため、重要なご予定は避けてください。
STEP
親知らずの状態を確認します
横向きや奥まった所に生えている場合、レントゲン撮影を行い詳しい位置を確認します (比較的まっすぐ生えている場合、レントゲン撮影は行いません)。
STEP
麻酔を行います
麻酔注射を行う前に、刺すときの痛みを和らげるため表面麻酔(シールと塗るタイプの2種類)を行います。通常2箇所に麻酔注射を行いますが、親知らずが痛む患者さまの場合は歯茎に膿がたまっている可能性があり麻酔が効きにくいため周辺に数箇所、麻酔を行います。
STEP
歯を抜きます(抜歯)
抜歯する器具は殺菌パックしたものを使用します。比較的まっすぐに生えている場合は3分程度、横向きや奥まった所に生えている場合は歯を分解しながら取り除くため、お時間がかかる場合があります。
STEP
お薬(抗生剤)・止血剤を入れます
歯を抜いた後の穴(抜歯窩/バッシカ)に細菌の増殖を防ぐための抗生剤(左画像で小さい方)・止血剤(左画像で大きく白いスポンジ状のもの)を入れます。 (両方とも数日すると解けてなくなり、患者さまが後で取り出すなどして頂く必要はございません)。
STEP
最後にガーゼを噛んで頂き終了です
治療後ガーゼを30分程度、強めに噛んでください。徐々に血液が止まり血餅(かさぶた)が出来はじめます。
親知らず・抜歯の料金について
歯の向きなどにより料金が若干異なります。まっすぐに生えているなど簡単な場合は3,850円(税込)前後、横向きや奥に埋まって治療が難しい場合は5,500円(税込)前後となる場合があります(いずれも保険適応の場合)。
抜歯した後の対応について
治療後に、ご注意して頂きたいこと、よく受けるご質問を纏めましたのでご参考ください。
抜歯をした後、通院は必要ですか?
通常、翌日に消毒のためご来院をお願いしております。但し、ご都合によりご来院できない方は担当医にお申し出ください。 うがい薬をお出しいたします(但し当日はまだ血液が固まっていない為、強いうがいはお控えください)。 その後、特に気になる症状がなければ治療終了となります。
抜歯をした後、口をゆすいでも構いませんか?
当日はお口をゆすいだり、うがいすることはなるべくお控えください。歯を抜いた穴に出来た血餅(かさぶた)が取れてしまい完治に時間がかかったり、ドライソケットといって骨がむき出しの状態になり痛みが続いたりします。
ただ、溜まった唾液や血液で、お口の中が気持ち時は1回、1時間以上あけて軽く吐き出す感じのうがいであれば大丈夫です。 また、同じく当日はスポーツやお風呂、お酒などの血行がよくなる行為は出血の原因になりますのでお控えください。
いつ頃から食事ができますか?
個人差がありますが麻酔が切れましたら、歯を抜いた反対側で少しずつゆっくり召し上がってください。その際、刺激が強いものはしみたりしますのでなるべくお控えください。
完全に血が止まるのはいつ頃ですか?
抜いた親知らずの状態にもよりますが、約2~3時間程度で気にならないぐらいになります。但し完全に止まるには1~2日程度かかるため、翌日朝起きたときにお口や喉などに溜まっている唾液に若干の血液が混じっている場合があります。
なかなか血が止まらないのですが・・・
唾液が赤く、血が止まっていないようでしたら薬局などでガーゼ(ティッシュや綿などは使わないでください)を購入して頂き小さく切って丸め、抜歯した部分の上におき30分程度強めに噛んでください。それでも止まりそうにないとき(すぐにガーゼ全体が真っ赤になるぐらい)は、当医院にご連絡頂くか時間外のときは、急病を受け付けている病院へお問い合わせください(お近くの市や区のホームページに夜間・休日診療を行っている病院をご案内する電話番号が掲載されています)。
抜いた穴に白いもの・食べ物が入ってしまったようですが・・・
ご飯粒が入ってしまった可能性があります。その場合は綿棒、爪楊枝などは使用せず、お口をこまめにゆすいでください(但し血が止まっていない状態や当日はお避ください)。下から血が固まり徐々に上がって2~3日で取れてきます。どうしても気になる方や数日しても取れないようであれば一度ご来院ください。
痛みや血が止まったので、薬を止めていいですか?
痛みが無くなってきたら痛み止めのお薬は飲まなくても結構です。しかし、抗生剤(抗生物質/細菌の増殖を抑えるお薬)は全て飲み切るようにしてください。痛みを感じなくなっても抜歯した傷口から細菌が入ってくる場合があります。